公務員の仕事は語る人によって難しい、簡単と分かれます。
実際のところ、民間企業での働き方とは異なるため一概に比較することは難しいです。
民間企業の方、学生さんが公務員の仕事に興味をもって、
そして転職を検討する際に参考にしてもらえればと思います。
大変なところでいうと、以下の要素があります。
・実務的な要素
・メンタル的な要素
・環境的な要素
これを踏まえて具体的に見ていきます。
仕事の運び方
民間企業の業務と異なる側面があって、慣れないうちは大変なポイントになります。
民間企業といっても、大企業と中小企業でも異なりますが、
中小企業で見られる個人や主任に与えられる裁量というものは皆無と考えていたほうがいい。
個人レベルで責任を取れる業務は少なく、行政長の指示として業務を行うものとして
判断するための業務を行うといった形です。
早速見ていきましょう。
決裁システム
大手企業で努めている方はイメージしやすいでしょうか。
行政の業務ではほぼすべての業務決裁区分が設定されています。
行政が作成する書類は”行政文書”となるため、行政の考えを反映したものと見なされてしまうためです。
そのため、起案書または稟議を作成し、決裁を受けます。
内容、金額によっては合議(他の異なる課の決裁)を受けたり、
レクレーション(知事、部長、課長、主幹を交えて打ち合わせ)を実施し、
内容の共有を行います。
そして共有された内容が決済承認後、行政文書として世に出たり、イベントの企画書などになるといった流れになります。
そのため、スピード感にもどかしさを感じる可能性はあります。
行政の仕事をしていると多くの課題を目の当たりにします。
例えば、
・庁内の窓口業務(書類・印鑑文化、非生産的な住民対応)
・地元産業の低迷
・少子高齢化(特に地方)
・待機児童問題(特に都会)
これらは簡単な一例ですが、行政には多くの課題があり、
解決しては新たな課題と向き合っていかなければなりません。
そんな時、自分のアイディアが形にするまでに多くの決裁、レクレーションを経てから
実行するため多くの時間・書類作成を要します。
ここにもどかしさを感じる方は多いです。
ただ、公務員を志す方は、正確な書類や他者を納得させる客観性などを身に付けるチャンスと捉えて頑張りましょう。
有事の対応
有事の対応と聞いても想像しにくいかも知れませんが、下記のような災害がこれにあたります。
・台風
・震災(地震)
・火事※部署による
・感染症(鳥インフルエンザ、口蹄疫、コロナなど)
自衛隊や消防士だとイメージしやすいと思いますが、地方公務員にも該当します。
例えば台風が発生した場合についてです。
台風の予想経路が判明すると住民の方の避難に備えて避難会場の設置や医療体制の確認などその都度組織が編成されます。
特に若手職員は業務終了後に一度帰宅して、避難会場に移動し避難会場の管理と避難者の対応を翌日朝まで行うことになります。
翌日、台風が通り過ぎたあとは区域内で被害が発生していないかを確認するため、各エリアに割り振られた職員が市道や施設などの状況をパトロールします。
このような形で台風が発生するたびに通過経路上にある市町村は24時間避難会場を管理し、休むことなく仕事を行うことになります。
民間だと会社によっては休みになるケースもあるかと思いますが、公務員は真逆で有事は必ず仕事になると考えていたほうが良いです。
特に震災などは段違いに公務員の方々は苦労をされていたかと存じます。
想像もつかないほど大変な日々を送られております。
なぜ公務員が大変だという話をするかというと、上記で挙げたような有事の際に
家族を優先して守ってあげることが難しいためです。
台風や地震が発生しても家族の側ではなく、緊急会議や避難所の設置・管理に従事する義務があります。
そのような点は本当に公務員の辛いところだと個人的には感じております。
住民対応
公務員(地方自治体)の方はわかると思いますが、住民対応が一番大変です。
どの課に配属されるかで住民対応の有無が決まります。
本人の適性というよりは運でほぼ決まるため、合わなくても3~4年はその課で職務を全うする必要があります。
【住民対応が多い課】
住民に直接サービスを提案する部署
例:福祉課、税務課、水道課、住民課など
【住民対応が少ない課】
間接的にサービスを提供する部署
例:産業/農業支援課、法務関連課、財政課、建設課、総合政策課(政策立案等)
あくまでも個人の意見ですが、
住民対応が多い課は法律に準拠して業務を進めることが多く、
判断というよりは、法・令・施行令にある選択肢から選ぶ感じに近いです。
そのかわり窓口に多くの住民の方が毎日来庁されるため、日中は事務作業に使う時間はありません。そのため、残業時間が非常に多くなる傾向にあります。
住民の窓口に来られる方も様々です。
・ただただ文句をいう人
・分からない点を質問する人
・暇だから話に来る人
・行政処分をされた人 など
特に支払い関係の課に来庁する人の多くはトラブルです。
滞納してて、相談であったり、差押えを受けてクレームをしてたりといった感じです。
これらを法律に乗っ取り対応をしながら事務作業を進める必要があります。
地域活動
地方の自治体で働く方が避けては通れないのが、地域活動です。
”強制ではない” と建前はありますが、行政で働くのであれば関わらないで
働き続けるのは難しいでしょう。
青年団
馴染みがないかも知れませんが、地域の若者を集めて地域のために活動をする団体です。
基本的には商工会や婦人会などと協力しながらイベントなどを一緒に運営します。
例えば、
・市の花火大会のスタッフ
・市主催の海の清掃スタッフ
・草刈り
・子供向けの祭りスタッフ
これらのがあるたびに招集され、スタッフとして働かされます。
ちなみに無給でボランティアになります。
気持ちがあれば問題ないですが、これは完全に業務外になります。
基本的に土日の活動がメインですので多くの時間が奪われる可能性があります。
消防団
こちらは耳にしたことはあるのではないでしょうか。
地区のメンバーで構成された部隊です。
主な内容は
・火事の際、水利確保や消火活動
・行方不明者の調査
・出初式での隊列披露
・操法大会 など
特に操法大会と出初式の隊列は、業務終了後に集まって練習をする必要があります。
残業が終わり、消防の練習といった形です。
通常、火事などで出動したら日当が発生します。
しかし、消防の部内の会計帳簿にプールされる団が多いのが実情です。
※是正され直接振り込まれる団もあるそうです。
こちらも家族との時間がなくなる可能性がありますので注意は必要です。
※組合活動
組合活動は地域活動ではありませんが、例外として加えておきます。
管理職及び総務・人事など直接行政運営に携わる方以外の職員で構成されています。
内容は
・賃上げ要求
・待遇改善要求
・市町村/県で集まり決起集会
・様々な問題に対して集まり・講演傍聴
組合活動も休日に実施されます。そのため、イベントがあるたびに出動しなければなりません。
ただ、頻度は少なく日当も支給されるため、他の二つと比べれはダメージは小さいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
大変だと感じることは人によって個人差があります。
・業務(法律/法人の取りまとめ/イベント・会議運営)
・住民対応(クレーム処理/その場で解答する瞬発性/幅の広い質問)
・業務外(青年団、消防団、組合活動)
どこかで落としどころを付けて、やりがいに変える努力が必要になります。
業務であれば自宅で知識をつけるために関連図書を読んで知見を広げるなど、個人のできる範囲で対応を変えていき、モチベーションを上げていきましょう。
イベントや組合活動に関しても嫌いから入るのではなくて、”好き”から挑戦する気持ちが大事です。
記事を参考に腹をくくって頑張ってください。
コメント